時代の流れとモラルの低下。

車内で携帯電話を使って通話をしてはいけない理由がわからなくなってきた

先に言っておく。
私は車内での携帯電話(通話)利用は否定派だ。
ボーダーラインは

  • 電源を切っておく … ○
  • マナーモードにしておく … ○
  • 着信音が鳴ってしまったら電話に出ずにすぐ音を消す … △
  • 着信音が鳴ってしまったら電話に出て「いま車内だからあとでかけ直します」と伝えて切る … △
  • 電話に出てそのまま話を続ける … ×

といったところ。
氏も指摘するように、当初タブーの理由で主たるものは「医療機器への悪影響」だった。
今になれば、カメラが世間に出始めた時の「カメラで写真を撮られると魂抜かれるよ!」的な印象すら感じるが、知らないってのはそういうことなんだろう。でも、その当時でも注意する人は「ペースメイカーが誤作動するから電話で話すのやめなよ」とは思ってなかったんじゃないかな。車内アナウンスは声高に言ってたかもしれないけど。
じゃあなんで?についての個人的見解は「マナー、モラルの問題」だと思う。


携帯電話以外の「電車でのタブー」を考えてみる。
例えば電車に乗っている親子がいて、子供が靴も脱がずに座席にあがって車窓からの景色に大はしゃぎしていたら、たいてい周囲の人間は「親は何をしてるんだ」と思うだろう。周囲が眉をひそめる原因は「車内で騒ぐ」ことと「土足で座席にあがる」ことだ。
同乗している人たちが子供好きだったり「子供は騒がしいもの」「わんぱくでもいい。たくましく…」といった寛容な見方をしている人ばかりなら、多少騒いでいたってかまわないのかもしれない。でも、子供嫌いだったり騒々しさに神経質だったりする人には、子供の高くて響く声は普通に話をしているだけでも耳障りだろう。より多くの人が不快に思わないのは「騒がないようにする」ことであり、それがたくさん人がいて限られた空間にいる場合の対処方法だろうと思う。
「土足で座席にあがる」ことについて「シートが汚れる」のは言わずもがなだけれど、今すでに着席している人たちは、その席に移動しない限り汚れたシートに座らない。もし「あなたに迷惑かけてないですよね?」と言われたらどうするんだろう?「後から乗ってきた人が迷惑ですよ」と答えるのだとしたら、後から乗ってくる見知らぬ人への思いやり?あなたはそこまで心配してあげるの?ということになってしまう。

iPodやmp3プレイヤーなどポータブルプレイヤーの利用も、それほど大きくない音量で楽しんでいるうちは個人の自由だけれど、カシャカシャという音漏れが聞こえる時点でかなりマナーを問われる。じゃぁあのカシャカシャ音は大音量か?といえば否、だ。人の会話をさえぎるほどの音が漏れているわけではないけれど、不快感は強いと思う。それって、本来その場で聞こえなくてもいいものだからじゃないだろうか。

映画館や美術館ならともかく
バスの車内はそもそも静かな場所ではない。
バス自体や隣を走る車のエンジン音やタイヤの音、
工事の音や宣伝カーの音楽や声で十分にぎやかだ。

その環境(車内)にいれば聞こえて然りなもの、自然発生的に聞こえてくるものと、人為的に発生させている車内の「騒音」とは種類が違うと思う。
携帯電話の会話、イヤホンからのシャカシャカ音は後者だ。極論かもしれないが車内のおしゃべりも(過度であれば)これに属すると思う。

ただ、携帯電話が珍しかったころならいざ知らず
100世帯あたりの携帯電話保有数が
200台を超える(ESRI,消費動向調査 20年3月)今となっては
携帯電話で話している人を見てストレスを感じるということは
あまりないのではないだろうか。

そもそも数の問題ではなくて
他の人が「なんかやだなー」と思うから、という程度で
個人の自由を制限するのは難しいように思う。

これ、至極もっともな感じがするけれど、私はそうではない気がする。
自由とか権利という言葉は、時として勝手都合で解釈される。特に「昔とは違うし」とか「みんなやってるから」という『多数派=アリ』な考えは危惧するところ。
氏は「ダメだからダメ」という意味での群集心理を問いかけているようだけど、私は逆に「赤信号みんなで渡れば…」的な感覚のマヒ(モラルの低下)を思う。
公の場でキスをしているカップルをみて「不快だ」と思うかどうか?を考えてもらうと似たような論理になるかもしれない。
キスという行為が誰かに迷惑をかけたか?といえば、道路の真ん中とか往来を妨げるような場所でなければ答えはNOだろう。通りすがりの人に無差別にキスしてるわけでもない。相手は恋人とか特定の人だけだから、(いきなり)キスされるという迷惑もありえない。
それならば「じゃあなんでいけないの?みんなだってしてるじゃん。」は正当化する理由になるだろうか?
そこらへんに答えがあるような気がする。