<臆面もなく、悪びれもせず。>

仕事が山積で忙しいはずなのに(しかも明日は講座の為に休日出勤まで約束されている)
どうにもやる気がともなってこないので、少しもはかどらない。隣のデスクにいる上司が
帰っていったのをいいことに、『ちょっとteabreak』と決め込んで紅茶を淹れてきて席につく。


画面の2/3くらいに縮めたエクセルを残しながら、これといったあてもなくネットをながめる。
仕事中にこんな体たらくじゃダメダメだよなぁ…という思いと、少しくらい気分転換したほうが
作業効率があがるんだきっと…という思いが交錯しながら、マウスを不定期なリズムで
カチリ、カチリ、とクリックしていく。


見たことのないサイトを渡り歩いているうちに、偶然懐かしいサイトにたどり着いた。
そこは、かなり前に更新されなくなっていて、Logだけが訪れた人を静かに迎える「跡地」だった。
まるで、久々に押入れの中から古いビデオが出てきた時に、ハッキリ中身が思い出せなくて
ラベルをたよりに再生してみるような…そんな感じでワクワクしながらLogをたどった。
「あ、これ好きだった」「あー!覚えてる」
気がつくと、一番最初にそのサイトを見つけた時と同じくらいに気持ちが高まっていた。


飲みかけの紅茶から湯気がでなくなるまで、懐かしい文章を読みふけっていた。


「やっぱり、私はこの人の文章が好きだったんだなぁ」
アルバムの中にかつて好きだった人の写真を見つけて、当時をふと思い出したような、そんな郷愁。


「よし。仕事がんばろ」


そうつぶやいて、私はブラウザの右上の×印をクリックした。


(6割がた?創作です。仕事サボって茶を飲んでたのはリアルです。<マテ)