不潔の価値

はてなの玉手箱:若者はなぜジーンズを洗わないのか

ジーンズは履いたたびに…とまでは言わないけど、どちらかと言えば
マメに洗う派だ。昨今の過剰な除菌滅菌ブームもどうかと思うけれど、
シワや生地の具合を保つためだからといって、洗わないでおくことに
見合うだけの価値が見出せない。


記事の中にもあるが、普通に洗濯機で洗うことによって風合いが
変わってしまうのがイヤなら、おしゃれ着用洗剤を使って
手洗いすればいい。(ジーンズの専用洗剤もあるらしいし。)
宝物にするくらいのヴィンテージなら、それくらいのお金と手間を
かけたって、ちっとも惜しくないと思うけれど。
私はジーンズ愛好者にはなれても、コレクターにはなれないな。


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 息子のジーンズを洗濯して、「なんで洗ったんだ!?」と怒られた−−こんな経験を持つお母さんいませんか? 何度もはいているジーンズを、わざと洗わない若者は、あなたのお子さんだけではありません。でも、なぜ洗わないの? 【銅山智子】
 ◇なじんだ状態、長く保ちたい−−メーカー「たまには洗って」

 ◇米国では作業着でも日本ではファッション

 ☆しわも大切

 戦後に洗濯機が普及して以来、日本の洗濯文化は「汚れたら洗う」から「着たら洗う」へと変化してきた。「何度も着ている服を1カ月も2カ月も洗わずにいる」という行為は、母親世代には考えられないことかもしれない。

 リーバイ・ストラウスジャパンの広報マネジャー、雨宮恵二さんは「一部の人の考え方ですが」と前置きしたうえで「足の付け根やひざの裏などにできる『はきじわ』や色落ちの状態を保つため、わざと洗わない人がいるようです」と説明してくれた。

 最近、主流になっているのは、新品なのにわざと水洗いした後、やすりでこするなどの加工を施して色を落としたり傷を付けたりしたジーンズだ。過去に人気を博したビンテージモデルを気軽に楽しめるよう、復刻版も次々に発売されている。買ったときの状態や、自分がはきこんでなじんだ状態を長く保とうとすれば、「洗いたくない」「洗わない」と考える人がいても不思議ではなさそうだ。

 発祥の地・米国ではジーンズは作業着なので、汚れたら当然、どんどん洗う。古いものや色あせ、ほころびにそれほど価値を見いださないという。

 「日本ではジーンズはファッション、趣味の服で、長く大切に着たいという意識が高い。ビンテージの復刻版が日本生まれだということからもわかるように、古いものに価値を見いだす文化もある」。そう話す雨宮さんだが「洗濯はあくまで個人の自由ですが、メーカーの立場から言えば、たまには洗ってほしい」と本音を漏らす。

 汗や皮脂でデニムの生地が傷んでくれば、徐々に弱くなってしまい突然裂けることもあるという。せっかく大切にはいていても、突然破れては台なしだ。

 ☆不潔ですよ!

 「汗をたくさんかく季節を過ぎたとはいえ、やはり衛生的ではない。ぜひ洗ってほしい」

 こう援護射撃するのは文化女子大学の田村照子教授(衣環境学)だ。下半身の中でも特に大腿(だいたい)部にはかなりの量の汗をかくが、椅子に座るなどして体重をかけると、繊維と繊維の間に汗や皮脂などをもみ込むようなものだ。洗濯をしないままだと微生物や細菌が繁殖し、ひどい場合はカビが発生したりするという。

 「ジーンズやチノなど木綿のパンツは、じゃぶじゃぶ洗ってはじめて素肌で着られる。もし、あまり洗いたくないのなら、昔のお父さんがスーツの下にはいたようなアンダーパンツ(ズボン下)を着用して衣類を守るべきだ。体にフィットして若い人も抵抗なくはける、おしゃれなアンダーパンツをメーカーに開発してほしい」と提案する。

 ◇色落ちしない洗い方は

 ☆専用洗剤も

 では、なるべく色落ちなどをしないように洗うには、どうすればいいのか。

 雨宮さんが勧めるのは▽蛍光増白剤が入っていない洗剤を使う▽裏返してぬるま湯で洗う▽不安なら洗濯機でなく手で押し洗いする−−などの方法だ。4〜5回着用したら1回洗う、くらいのペースなら、生地の傷みなどの心配は少なくて済みそうだ。

 一般の洗剤に抵抗があるなら、ジーンズ専用洗剤で洗濯する方法もある。東急ハンズなど生活雑貨を扱う量販店やインターネットで手に入る。

 ドイツ製のブルージーンズ専用洗剤「ブルーファッション」は蛍光増白剤を含まず、ヘアカラーなどにも使われる色落ち防止剤を配合。落ちやすいインディゴブルーを保つ一方で、3種類の酵素で汚れを落とす。2年前から輸入販売しているジャパン・インターナショナル・コマース(東京)は「今まで洗わなかった人や、いいものを長くはき続けたい人など、ジーンズにこだわりのある幅広い世代が購入している」と話す。

毎日新聞 2006年11月7日 東京朝刊