<ヤスコさん>

友達との電話で「彼女、ヤスコさんって言うんだけど…」と
名前の漢字を説明しようとして、一瞬言葉につまった。


“康子さん”なら「健康の康」で誰にでもすぐ通じるし、
“靖子さん”なら「靖国神社の靖」でピンとくるだろう。
“泰子さん”だったら「安泰の泰」でわかってもらえると思う。


しかし、彼女の名前はそのどれでもなかった。
“恭子さん”だったのだ。
とっさに「うやうやしい」が出なかった私も情けないが、
もしかすると相手もすぐ認識できないかも知れない。


私は「あのさ…すっごく古い例えなんだけど…」と
口ごもりながら「本田恭章の恭」と言った。
友達は大笑いして「わかった。わかったよ!」と言ってくれた。
「でもさぁ“柴田恭兵”や“叶恭子”とかあるじゃ〜ん!」


まったくだ。
何をもって彼を思い出したのか…しっかりしろ、自分。
(※ちなみに彼はまだ現役で活動されているそうです)