<侮蔑された職業?>

仕事がひと段落した時に、同僚と話していた(というか話を聞かされていた)。
正直、もともと気が合うとは思えない相手なので適当に流していたんだけども
彼女は自分が裕福に育ったらしいことや、知的水準がわりと高いことなどを
表立ってではなくチラチラと見え隠れするかのように自慢していた。


どうせ自慢するならスネ夫くらいあからさまに?威張ってくれちゃうほうが
まだ気持ちいいかもしれないなぁ…などと思いながら、私は適当に頷いていた。


そして、私にしきりに金銭感覚についてたずねたり、同意を求めたりしてくるのだが、
他人のお財布事情の統計なんか取ったこともないし興味もないので
「よくわかんないや」とだけ答えた。
(だけど、私がこれまで見てきた人たちで他人の経済状態ばかり気にしていた奴は
成金っぽいか見栄っ張りなだけだったような気がする。)


適当に話を切り上げてみたが、今度は学校の話になった。
(…この人の話はいつ終わるんだ?<結構飽き飽きしつつ)
学校のレベルだとか、彼女の位置づけ(成績とかお嬢度?とか)を聞かされた。
ひと通り説明が終わると「はい。次はあなたの番」と言わんばかりに彼女は
攻守交替の如く聞き手になるんだけれども、いかんせん私は猛勉強もせずに
行ける学校にのうのうと行っただけなので、これまた彼女が期待するような
返答がなかなか返してあげられずにいた。


さらに、卒業後の進路の話になって友人知人が○○に就職したとか、本当は
△△に行きたかった…とか、今度は愚痴も入り混じり?…で、もう私は聞き手と
いうよりは軟禁されているような気分だった。


しかし、間もなくして彼女の話を切り上げる機会ができた。
彼女が侮蔑している同級生の話を出した時だった。


『大学卒業して饅頭売ってる子がいるのよ。信じられないでしょ。』


『まぁ、人それぞれですよ。私の従兄弟も大学出て饅頭売ってます。あはは』


私の祖父母の家が和菓子屋をやってることを思い出した彼女の顔は、
今日見たなかで一番チャーミングだった。